散弾銃プレアデス
紺野利樹は、窓から星が見え始めた空を見上げた。藍と橙が混ざった儚げな色合いに身をうつす。
すばるがはじめて来た日は、どうしても好きにはなれなかった。
何も喋らない子供だ、と思った。
白い肌にくっついた、まるで宝石のような目が自分に向く。
無色。無情。無心。無感。
この世のすべての「無」を、ひとつにかためたようなその存在の為に安原は何かにつけて行動する。原もまた、その“カタマリ”に、楽しげに愛を注いだ。
その甲斐だかなんだか知りはしないが、“カタマリ”は成長していったように見えた。
原の話だと、少しずつ笑うようになったらしかった。
『真っ白な子だ』
そう言いながら笑う顔がとても穏やかだったのをよく覚えている。
それにつれ、安原が時折、なにか強大な畏怖と対峙したかのように遠くを見つめることが増えた。