散弾銃プレアデス
皆瀬すばるは、閃光弾によって不気味に染まったオレンジ色の夜空を見上げた。
敵機への目眩まし。
空機隊の中から偵察を目的として飛んだ一・二班が交戦を開始した合図だった。
そろそろどこかで爆撃が起こる頃だろう。
それなのに持ち場を離れて援護に向かえないのは、苦痛以外の何者でもなかった。
「……う…」
泣きすぎた為か、目がむず痒い。ごしごしと手の甲で擦る。
「すばる、やめとけ」
同配置の空機隊員がすばるの手首をそっと掴んだ。
「みうさん」
「擦るともっと痒くなるぞ、な」
みうさん、こと三浦大輔(みうらだいすけ)は空機隊の古参。安原より先に入隊しているベテランだった。
二児の父親である三浦は、全ての人間に認知されているわけではないすばるにも、よく接してくれる存在である。