散弾銃プレアデス
「仏製の装甲車。滑腔砲“F1”、対空機銃、2.7ミリの重機関銃……自動装填機能付き」
「………」
「世界的にも最新“超攻撃型”のお嬢さんだぜ」
ずず、と引きずるような音が2人の鼓膜を震わせる。
「向こうだってタンク使って攻めてくる……今も、俺は手を出せない状態だろ?」
「伸吾ちゃん……」
「このままだと死ぬぜ、誰かが」
通信機に向かって原がつぶやくのを、紺野はただ見つめた。
「ルクレール、機動準備。乗るのは俺と………菅谷隊員だ」
相手の出方がわからないままに戦うわけにはいかない。
しかも、動けない味方は【壊像】の威嚇レベルの射撃で傷者を出している。
崩れるのは時間の問題。
誰かが切り込まねばならない。
“ルクレール”の戦闘能力なら十分にその役割を果たせるが、それでも。
敵陣に突っ込んでかき回し、
“帰ってくる”のが難しい。
運転手のテクニック。
砲手の技量。
一つでも欠けたら即死。
原はそれをしようとしている。
「葵ちゃんに援護、頼むかい?」
「いらねぇ。
アイツは上見て戦えばいーんだ。下へ援護射撃やってる暇がありゃ前に撃てばいい」
そう、と。
紺野はやりきれない思いを含んで下を向いた。