散弾銃プレアデス
トリカゴ内、居住区6階。
廊下を歩いている隊員もちらほら見える、夏が近づいた新緑の午後。
「男子トイレなんてトコに嬢ちゃんと葵がいるからよ」
「はいっ!」
元気よく返事するすばるに、原はにっこりと笑って頭を撫でた。
「俺はまた、葵のヤツがそっちの趣味なのかと…」
「そっちの趣味?」
コロコロと表情が変わるすばるに微笑んで、原はさらりと続ける。
「そりゃあお前、ロリコ……んッッ!!!」
崩れ落ちた原の向こうで仁王立ちしているのは、やはり安原。
握りこぶしを作り、安原はあわあわと慌てるすばるの肩をぽんと叩いた。
「皆瀬に何を吹きこんでるんだ、伸吾」
「ろりこ……?」
「…気にしなくていい」
言い含めて、安原はむくりと起き上がる原を非難めいた目で見る。
「皆瀬、これで掃除は終わりか?」
「はい!おしまいです!」
そうか、と小さく呟いた安原を不思議そうにすばるが見つめた。
ふと顔を上げる安原が口を開く。
「なら、少し俺に付き合え」