散弾銃プレアデス
少年がドアノブに手をかける。
少女の世界が再び広がる。
少年が左足を踏み出す。
少女が叫ぶ。
「だめえーっ!!」
少年の肩がビクンと跳ねた。ゆっくりと少女を振り返る。
「……なんだ?いきなり」
「だめなの…約束だもん!」
やくそく?と、少年がおうむ返しに尋ねた。
「おじいさまを待つの!約束したもん!“ただいま”って、言ってあげるんだもんっ!!」
少女は言い切ると、少年の手を振り払おうとする。
「そんなの、もうっ……」
口ごもる少年の一瞬の緩みを見計らい、廊下へと押し出した。
「行かない!行かないもん!!」
「じゃあ一生そのままかよ!?」
「来るまで、待つの!」
その言葉に、少年はおもむろに地面に座りこんで言った。
「なら、俺もこっから動かねえ」