散弾銃プレアデス
「…もう、遅いよ」
虚ろな目で地面に横たわる男を爪先でコツンと蹴る。
栗色の髪に華奢な身体つき、少年の面影を残したその人物はクリーム色のロングコートを翻した。
弱冠二十歳にして、
国を相手取った武装組織の頂点。
国家が人々に見せる、
“像”を壊す者。
テロ組織【塊像】
春樹レイ。
先ほどまで自分が居た通信室の中、設置型の通信機から黒煙が立ち昇っていた。焼け付く鉄の臭いはそこに火種が出来たことを暗に物語る。
青年は、白いロングコートを脱ぎ捨てた。まとった黒を基調とした衣服は青年が戦闘の担い手のひとりであると示している。
ただ指示を出すだけの上層部の人間とは違う、テロ集団の若き長は、手にした旧式のショットガンを背負い、悠々と甲板へ出た。