散弾銃プレアデス






「総司令!」
厚いドアの前で大声を張り上げた女性…御堂香織は小さく溜息をつき、また声を上げた。


「特殊公務機動隊長官・御堂香織、入ります!」







煌びやかな装飾は気持ち悪いほどに眩しく、長い毛の絨毯は無駄に己の足をとる。ただそれだけに苦戦しながら、大きいだけの漆で塗られた机の正面に直立した。

でっぷりとした身体つきと脂ぎった顔に嫌悪感が募る。
「やぁ、御堂君……また一段と美しくなった」
全身を舐め回すような視線も、また御堂の背筋をぞくりと震わせた。


…だが、引かない。


「ここに来るまでにやけに時間が掛かりました」
「そうか?道を間違えたのかな」

最近私の元へ来ないから、と付け加える目の前の男・芹沢吉次(せりざわきちじ)が国家防衛の頂点。
御堂は眉間に皺を寄せながら芹沢を一瞥する。




「芹沢総司令、私は―――!」
「わかっているよ、御堂」

何をだ、この豚野郎。
喉まで出掛かった言葉を無理矢理飲み込んで御堂は俯いた。


「援護だね」
「えぇ」



「……残念だけど、それは無理な相談だよ」




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