散弾銃プレアデス
「すばる」
ピタリと止んだ上空からの一斉射撃を訝しみながら、三浦大輔は少女を呼んだ。
少女・皆瀬すばるは、水色の隊服を真っ黒に汚しながらその場に腰を落としている。
《トリカゴ》の前は比較的安全地帯で、武器の供給が活きやすい。
「第五武器庫に行ってくれるか?……俺はここで待ってるから」
だからといって、安全だと飲み込むわけにはいかない程に、戦場は厳しいものだった。
動けばそれだけ敵と出会う確率は上がる。
「うん、行ってくる!」
それでも、三浦の言葉に元気良くうなずくすばるは、にこりと笑って立ち上がった。
「テクニカルスナイパーとウォルフラム15、7ミリ弾薬と…サブマシンガン。8ミリ以上ならどれでも良い、持ってきてくれ」
絶対必要なんだ、と付け加えて、三浦がぷいと背を向ける。
どこかから銃声が聞こえた。
「いってくるね、みうさん」
「…………あぁ」
空は青く、夏の匂いが漂いはじめている。風はあまり吹かない。
「ごめんな、すばる」
ぐしゃぐしゃと頭をかいて、すばるの居ないその場で呟く三浦が、膝にぐっと力を込めた。