散弾銃プレアデス
飴とムチとチョコレート
場所は《トリカゴ》住居区の一角。
3人の特務隊長は特に別の部屋が与えられるわけでもなく、彼らは他の隊員達と同じ場所で生活している。
ネームプレートにはハネの強調された力強い文字で“安原”と記されているドアの前で、
すばるは内心ただならぬ緊張を感じていた。
「お、お邪魔しますっ」
「お邪魔も何も、俺が連れてきたんじゃないか」
そう言って笑う安原につき従って部屋に入る。
「座っていなさい」
革張りの、少し形のくずれたソファーを指差して安原が言う。頷いて、出来るだけソファーのカバーにシワを作らないようにすばるはそうっと腰掛けた。
「(……どうしよっかな)」
どうすることも無いのだが。
なぜかそわそわする。
そんなことは普段、安原と接する際には全くと言って良いほど有り得ないのに。
そんなことを考えながらも、座り方を変えたり、軽くストレッチをしたり、すばるは落ち着きなく気を紛らわせた。
「(キンチョー、ってやつ?)」