散弾銃プレアデス
「安原隊長が言ってました」
足先でトントンと地面を踊るように叩きながら、すばるは続けた。
2人の身体は赤黒く煤けていて、水色の隊服もまた、ところどころに焼け焦げた跡を残している。三浦は今更になってじんわりと滑り落ちた汗に、自身が「死」と隣り合わせていたこと感じた。
本来ならば心地よい薫風であるはずの風が妙に生温い。
その中に浮かぶすばるの笑みは屈託なく、やはりいつもの通りの朗らかな少女に戻っていた。先の、拳銃を片手に猛り叫ぶ面影は完全に消滅している。
「“すばるぼし”は、1つじゃないから明るいんですよ」
「え…」
目を点にした三浦が反芻する様子に重ね、言葉を紡ぐ。
「皆が光って、集まってるから眩しく光るんだって、隊長が教えてくれました」
言い終わると同時に一際花の様にに笑うすばる。
三浦はぽかんとした表情を一転させ、穏やかに、力強く頷いてすばるが差し出した小さな手のひらに触れた。
「わかったよ、もうあんな事しない」
「やくそくですよ」
すばるが立ち上がった三浦にぴっと小指を差し出す。
「うん、約束だ」