散弾銃プレアデス




だが、そんな事は最早関係無い。



確かに、今そこに敵は在るのだ。




「………行くぞ…」
誰に言うでもなく、自分を鼓舞するでもなく微かに言った安原が軽く目を閉じ、さっと開いた。








次の瞬間、
薄く赤黒い煙を尾に引きながら、戦闘機の下部から横に膨らんだ形状の鉄筒が飛び出した。






「カウント・15(fifteen)!!!」
安原は、すぐ傍にあるヘルメットから連絡用のマイクのみを引き出し、叫ぶ。





飛んでいく空機隊の威嚇弾は、ずん!と腹に響いてくる低音をたて、突き刺さるような形で敵機にめり込んでいく。
それでも浮かぶ銀色は、悠々と青空を泳ぎながら自分達を見下しているようにも見えた。




「14!」




翼は無く、しいて言うなれば飛行船のような、それ自体が弾道ミサイルであるかのような形をした敵機。大きく視界を取り込むような場所は見受けられないが、どうやら前方に存在する深い窪みがその役目を果たしているようだった。




「13!」



地面を見下ろす。黒鉛の上がる何箇所かに目をやれば、傍目にも銃撃戦と解るような様も見える。世辞にも芳しいとは言えなかったが、奮戦の様子が色濃く焼き付いていく。




「12!!」








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