散弾銃プレアデス
「君は、哀しい子だね」
しんと静まり返った、張り詰めた空気に紺野は優しい声音をのせた―――――
「俺んちの親、死んでっから」
「ごめん…原くん」
「謝んなくていいよ、伸吾」
7年前。
紺野が特務機動新人[整備]隊員として、原と安原は陸空各隊員として…《トリカゴ》で出会い、会話を交わす様になった頃。
紺野の脳裏に浮かぶ、原と交わす青い会話。
「弟はそのまま施設にいる」
あの時、原は確かにそう言って笑った――とても苦しそうに。
……幼心に、両親は奪われたのだと解っていたはずの弟の事も、
彼の中で日に日に募ってゆく憎悪も。
そして、
立ち向かう術の無い小さな少年が、小さな心に黒ずんだそれを詰め込んで朝を繰り返していた事も。
「君の兄さんは知っていたよ」