散弾銃プレアデス
晴れていたはずの空は、いつの間にか灰色の雲に覆われている。
何とも言えない不穏な空気だ、と三浦は肩をすくめた。
「安原隊長…」
小さな声でその名を呟いたすばるにも気付いていながら、何も声をかけることが出来ないでいる。
背中合わせの状態で地べたにしゃがみ込む2人の影。
三浦は先の戦闘の名残であるサブマシンガンを手にしている。すばるもまた、敵から奪ったショットガンを大事なもののように抱きしめていた。
ここまでの規模の戦闘が、今までに無かったわけではない。
「(……けど、すばるにとってトリカゴは自分の家だ)」
自分の家が破壊されてゆく様子を見ているなんて、耐えられるようなモンじゃない……三浦は小さな少女に覆いかぶさる苦痛を思い、顔をしかめた。
空を見つめたまま動かないすばる。
その微かに震える唇は、ゴーグルの向こうの何かを確かに数えていた。
「…はち……」
「8?」
「ラファールが八機、並列横隊で飛んでる」
すばるに倣ってゴーグルから空を見上げれば、光を遮られた太陽と依然大きな敵機。
4時方向ですよ、というすばるの言葉に視界を少しずらす。
「あ……!」
確かに、いる。