散弾銃プレアデス
ちょこんとソファーの上に座るすばるを見て、安原は小さく笑った。
手にしたマグカップを机に置く。
「ほら、」
白地に赤いラインの入ったマグカップ。白い湯気の珠がぷかりと立ち上っている。
軍服の上着を脱ぎながら、自分のカップに入った紅茶を口に運ぶ安原の喉仏が上下するのを、すばるはふと見つめていた。
「……皆瀬?」
視線に気づいた安原がすばるを呼び、にっこりと笑う。
血液が沸いたように焦りを見せるすばるに、安原が思い出したような顔をした。
「ああ、悪い」
もう一度キッチンへ向かい、小さな砂糖の瓶を手にして戻ってくる。すばるのマグカップにビンから直接砂糖を入れた。
「甘いのじゃないと駄目なんだったな、皆瀬は」
「…し…知ってるんですかっ」
「そりゃあわかるさ」
安原が自慢気に言う。
「食堂で甘口カレーを頼むのはお前だけだからな」
照れと共に、どこか嬉しいと感じた自分自身にすばるも驚いた。
安原が自分を見てくれていること。安心感に包まれるような感覚に、すばるは微笑む。