散弾銃プレアデス
「さて…辛いものが苦手で甘党の皆瀬隊員」
「……は、はいっ」
茶化した口調で言いながら、安原がカップを置く。その衝撃で紅茶に波が立った。
「用件はなんだ?」
「用件…?」
「男子トイレで、お前は何か言いかけただろう」
「あ、ああっ!」
「…聞こう」
安原が座るあぐらの脚を組み直す。
「た、隊長っ…あの、昨日の任務……すみませんでしたっ」
反国家主義の暴動集団による武力テロ。その鎮圧に出動した国家特殊公務機動隊「SkyForce」。
駐留から撤退の指示を無視し、交戦中の隊員ひとりが現場に残留していた。特務機動による砲撃に巻き込まれないための撤退だった。
離れなければ、その隊員は確実に砲撃に巻き込まれた。
「俺が行きます」
部隊長は真っ直ぐに司令官を見て言った。無茶だと反対の意見が挙がるが、意見は変わらない。