散弾銃プレアデス
「…それじゃ、行きますね!」
さらりとすばるの口元からこぼれる言葉は、まるで遊びに行く子供のよう。
安原葵には、少女の背中に明るい街並みが見えた気がした。
まばたきをすれば、灰色の戦場。
踊るようにすばるが爪先を地面に打ち付けて、安原に向かって可愛らしく首をかしげ、笑う。
「いってきます、安原隊長っ」
太陽のような笑顔を咲かせた少女は駆け出した。
その両手いっぱいに、鉄塊。
比較的旧型の散弾銃。
すばるの足音と、弾同士が触れ合う無機質な金属の音。
それだけが、辺りに響いている。
安原は動かずに、ただ駆け出したすばるを見つめていた。
すばるの背中が遠くなり、小さな水色の点になって、灰色の影に消える。
どこか近くでまたもや爆発音。
「さて…、と」
安原はため息混じりに言った。
「俺も仕事だ」