散弾銃プレアデス
依然土煙は晴れない。
首にかけていた遮光ゴーグルを装着し、安原葵はいつでも飛び出せる姿勢を保ちながら相手を探った。
真正面からの光線を遮断する特殊ガラスのそれは、遮るもののない空で目が眩むほどの光を伴う戦闘においての必需品だった。
カメラのレンズを通して赤外線をうつすと、画面上の光線が肉眼で確認できる。
砂煙に捲かれた空間の中でもまた、同じだった。
捉えづらい程に微かではあるが、ゴーグルによって余計な光を遮った安原には見えた。
目に映る、煙の中に見える赤黒いレーザーが視界を両断している様子。
その元を辿れば、半崩壊状態の廃ビルに吸い込まれていた。
隠れた位置からの狙撃の為のそれが、皮肉にも自身の居場所を示している。
それを確認し、安原はあぐらをかくような体勢をつくった。右肩にランチャーを乗せる。
するりと銃身を撫で上げる優しげな手の表情から一変、引き金をぐっと手のひらで握りこんで、安原は瞬間的に全ての動作を停止させた。