散弾銃プレアデス
不安を払拭するために、走る。汗の玉ひとつ落とさず、すばるは戦場を駆け抜けていく。
安原の命に、前線を目指す。
目眩がするような黒煙の塊を突き抜ければ、身体中に煤を纏ったすばるが飛び出した。
火薬の燃える匂い。
間髪入れず頭上ど響く爆音に見上げると、降り注ぐつぶて。
「………!!」
反射的に速度を上げて駆け抜けた。
───何か、いる。
白で統一されたスーツが彩度の低い戦場から浮いて、破壊された建物の上に佇んでいた。
装備という装備は無いが、コンクリートの塊を上空から注いだ人物であるということだけは間違いない。
しかも自分を滅するために、だ。
狙撃するわけでも爆破するわけでもない敵の行為。殺すのならもっと他に方法がある。
ただの戦闘員じゃない。
そう確信したすばるの視界にうつる、巨大な灰色の塊。
「……う…!?」
ゆっくり落下してくるそれは、発破された建物の瓦礫だった。
肩から下げたマシンガンを構えた。
すでにコンクリートは目の前にあった。