散弾銃プレアデス
「キミのような子供がマシンガンなんか持って戦争か…」
青年の笑みが歪む。
「また頑張るんだ、カワイソウ」
ぴく、と反応したすばるが右腿のハンドガンをするりと抜き、迷いなく青年に向けた。
「(『また』?)」
すばるには青年と会った記憶は無いが、青年は確かにすばるを認識している。それがますます薄気味悪い。
「25口径オートマグナム」
さらりと銃の型を口にした青年に募る不審。
「右のはアサルトショットガン、クラスターライフル…ロシア製だ」
銃の知識も申し分ない。相手にこれを渡し、上手く使われてしまうわけにはいかなかった。
グリップを握る右手に力がこもる。
そして、
くすくすと笑う青年の表情がガラリと変わった。
「ねぇ、キミさ…――僕を狙ってるの?」
紅茶色の瞳が歪む。
気が付いた時には、崩れかけのコンクリートの壁に立ったままで押し付けられ、身体の自由が奪われていた。
青年の割に華奢な指が肩に食い込むほど力が加わる。
指の感覚が無くなり、次第に手に力が入らなくなる。
「………や……っ…」
右手が震えはじめた。銃の冷たさすら、わからなくなる。
これを手放すことは死を意味した。
青年が、気持ち悪いほどの笑顔を浮かべた。
すばるの手から、銃が落ちる。