散弾銃プレアデス
有りったけの力を込めようとすると、視界の端で自分の指先だけが返事をした。
気の立った猫のように、真っ直ぐな息を吐きながら力をいれる。熱が首の根元に張りついたような感覚を覚えた。
「どうしてそんなに頑張るの?」
すばるのその様子に、心底不思議といった大げさなジェスチャーを使いながら、青年が尋ねる。
「諦めて投降しろなんて言わないさ。
けど、逃げるって選択肢もキミにはあるんじゃないのかな」
「……約束、したんです」
そうだ、約束。
自分は約束をしたじゃないか。
安原は数年前のあの日、まだ幼い自分に小指を差し出したじゃないか。
良いか、皆瀬隊員
ココの約束はひとつだけ
《生きていること》だ
『ゆびきりをしよう』