散弾銃プレアデス
青年は突然力を抜いた。
自由になった身体で距離を置くのも忘れ、青年の突然の行動に呆然とするすばる。
手首を軽く捻りながら、すばるに向かう青年。
「ニセモノなんだ、ただ大きく見せられてるだけ」
「…そっ…そんなの、」
「だから僕らは壊すんだよ」
しん、と一瞬辺りが静まり返った気がした。かと思えばまた低い爆撃音が響いて消えていく。
「“不完全”を“完全”に見せるのはこの国の常套手段…平和国家なんてただの虚像さ」
ふ、とため息をつく青年に、すばるが吠える。
「…だからって、みんなを傷つけていい理由にはなりません!」
「それはキミたち特務機動にも言えるよ。そのショットガンがどれだけの頭を吹っ飛ばしてきたんだい?」
すばるが構えていたショットガンを握りしめる。何故かいやに重く、冷たく感じられた。
一体何が正しいんだろう?
もしかすると、自分はとても恐ろしい事をしてきたのかもしれない。
自問自答するすばるを見てくすりと微笑むと、青年はゆっくりと口を開いた。
「僕らは《壊像》…虚像を壊す者さ」