散弾銃プレアデス
「ねぇ、“平和”に手で触れられると思う?」
青年が言う事が掴めなかった。
じわりじわりと侵食してくる何かに、すばるは思わず首を振る。
反論のコトバさえ思いつかなかった。
確かに、触れられるはずがないモノ。
堅固で、壮大で、それのためなら命をも惜しまずに戦う意義を持つのが、“平和”。
命を保証し、命を保護し、人を戦いの血流から護る大義を持つのが、“平和”。
ぐちゃぐちゃ
ぐちゃぐちゃ
────なんか、へんだ。
「ね、ニセモノでしょ?」
にっこりと笑う青年をじっと見つめて、すばるはその意味を咀嚼していく。
平和のための犠牲、なんて言葉が頭に浮かんで消えた。
握る銃の重みに耐えられる自分は、なんだ。