散弾銃プレアデス
「本物の平和に、キミは要らない───命令通りに人を殺すだけの、忠実な兵器」
すばるを捕えた軽蔑の眼差しに、なにも言葉が出ない。それなのに、目が離せない。
するすると巻き付く言葉が自分の身体を締め上げようとしていることはわかっていた。
「ただ、キミは少し性能が良すぎたみたいだ。
…すぐに死ねやしない」
にこやかに微笑みながら、鉄を放ったばかりのショットガンを地面に放り投げた。がしゃん、と音を立ててすばるの足下に転がる。
すばるは何も言えず、ただ呆然と脳内でそれぞれの単語を繰り返した。
「キミは空に呑まれるしか………
っと、おむかえみたいだね」
その言葉に顔を上げる。
それまで立っていた足場が一瞬で粉々に砕けた。それは、ちょうど青年が軽く飛び上がるのと同時だった。
──銃声の鳴源は上空。
見上げれば、降下するひとつの影がすばるの目に飛び込む。
「───隊長」
2丁の銃を手にし、下降の勢いはそのままに青年を追うその姿を、すばるが間違えるはずもなかった。
崩れた足場に着地し、安原は他に目もくれず駆け出す。
「──すばる!!」