散弾銃プレアデス
「すばる、無事か!?」
安原はしゃがみ込み、すばるに目線を合わせた。虚ろな表情と光を失った瞳。
その虚無感に鳥肌が立つ。
「春樹っ……貴様、まさか」
「僕は少し彼女の存在理由にヒントをあげただけですよ…アナタ方は、モノを隠しすぎているのがどうもいけない」
少し距離をおき佇む青年は、手振りを交えながらさも楽しいといったように笑った。
「……だから“真実”を知れば壊れてしまう」
少しの間が空いてから、安原はすばるを片腕で抱き上げた。
すばるは抵抗もなく、だらりと腕を投げ出しながら大人しくおさまっている。それもまた、安原の不安をかきたてた。
「……失せろ。」
低い声で言い放つと、安原は青年に背を向けた。その背に向かう声が戦場にこだまする。
「ねぇ隊長さん…その、すばるちゃんに教えてあげて下さいよ」
安原が足を止める。すばるの腰に回した腕に力を込める。その重みが安原の四肢に力を与えているのは確かだった。
「『正義』とは何か…出来るものなら、ね」
幼いとはいえ、何年もの経験を積んだ戦闘員であるすばる。
そんなすばるの内側を追い詰めた青年の言葉にも、安原は揺らがなかった。