散弾銃プレアデス
言うと、原は二回目の黄信号にハンドルを切った。
「掴まってな」
その勢いに身体が持っていかれそうになるすばるに、今度は小さな声で言う。
「原さん」
すばるが口を開く。原は視線を変えないままで返事をした。
「どうした?」
「…あたし、最近ヘンなんです」
突然何を言いだすのかと思えば、すばるはうつむいたままで言った。
少女の年相応の成長を無条件に可愛らしいと思ってしまう自分に、原は笑みを浮かべる。
「何がヘンなんだ、嬢ちゃん」
わかってはいながらも聞いてみる原と、さも深刻そうに言い含めたすばる。
「原さん…あたし、」
すばるにとっては深い疑問なんだろう。
深層心理に触れる初めての感覚に戸惑っているんだ───原はそう結論して続く言葉を待った。
「あたしは…誰なんですか?」