散弾銃プレアデス
「あとは、“国家特務航空機動隊員・皆瀬すばる”だろ」
青信号、再びアクセルを踏み込んだ原が小さく息をついた。
ガラスの上のすばるは真っ直ぐに目線を保ちながらも、何かに目を背けている、と漠然と原は思った。
もともと頭はキレるし、自分に課せられた「何か」を、すばる自身、薄々感じているからかもしれないが。
自分の存在を通して、この世界を生きようとしていない────
それがすばるのせいでは無いとしても、だ。
でも。それでも。
「───俺がいるだろ」
この世界には、お前と関わる人が生きてるだろ。
原がそう言うと、頑なに強ばっていたすばるの表情が少しゆるんだような気がした。振り払うように、すばるはやわらかな口元を一文字に結びながらうつむく。
「特務隊は家族で、お前はその一員で。
ここに居る理由も、守られる理由も、今はそれで良くねえ?」