散弾銃プレアデス
すたすたと間の抜けた足音に安原は振り向いた。
この部屋の通りは関禁のはずだ、従って大方の見当はつく。
ゆるくウェーブのかかった茶髪の男性が立っていた。髪を後ろで一つにまとめて結っている。
身に着けたこげ茶色の軍服の胸元に光る級称は男性が隊長格である事を物語っていた。
「……利樹」
国家特務海上機動隊長・紺野利樹は、自分を呼ぶ友を見つめた。
「葵ちゃん…」
紺野の透き通った瞳が一瞬揺らいだ様に見えた。
「───俺は、葵ちゃんの力になりたいんだよ」
耳元のピアスを右手で揺らしながら、同室内のソファに腰掛けた紺野は安原に告げた。左手の缶コーヒーを軽く掲げる。