散弾銃プレアデス
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あの後、原さんに連れられて入った建物の中は小さなお店になっていて、所狭しと服が並んでいた。
原さんの顔を見た店員さんが駆け寄ってきて、その腕を絡ませた。原さんの左手はあたしと繋いでいた。
「伸吾ちゃん、すっごい久々だよねー!最近全然来てくんないじゃん!?」
女の人には金ぴかのピアス。唇と、眉毛の端と…とにかくいっぱい光っていた。
それがなんだかとっても痛そうに見えて、あたしは思わず顔をしかめた。
「……アレ?その子」
逆にぱっちりした目があたしをさっととらえて、
「おぉ、コイツはな」
言いながら、原さんはあたしを抱き上げた。
「わっ、」
「かわいーだろー、俺の妹。すばるってんだ」
原さんのツンツンと立った黒髪の束が当たってちょっと痛い。それにちょっと恥ずかしい。
でも、なんだか
とってもとっても嬉しくて、あたしは原さんの肩口に手を伸ばした。
「可愛い〜っ!なにー?あたし知らなかったんですけどーっ」
「…ほらすばる、挨拶」
原さんは、すっごく、すっごく「お兄ちゃん」ってかんじだと思った。「挨拶」という単語だけで他人に促すことの出来る…それは原さんの、お兄ちゃんと呼ばれる人の特権だと思った。