僕は彼女の事を二度愛していた
扉を開けると、蒸し暑い空気がまとわりついた。
どこのビルでもそうだと思うけど、屋上にはエアコンの室外機がたくさん置かれている。そこから出てくる暖かい湿気が充満していた。
「この時期の屋上は、あんまり気分のいいもんじゃないな。」
部長は取り出したハンカチで、皺の寄った額をおさえている。
「ですね。でも、他に場所もなかったし、しょうがないですよ。」
僕がそう言うと、設置されている自販機から、缶コーヒーを買って手渡してくれた。
「それで、どこまで話したっけ?」
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