僕は彼女の事を二度愛していた

「そうそう、ここからが本題。さっきまで悩んでいたのが、バカみたいに感じるよ。」
「と言うと？」
「あんたさ、独り言が云々って悩んでたじゃない。あれの事。」
「あれって、加藤さんと同じじゃないの？」
「加藤さんの事は知らない。興味ないしね。ただ、大河内さんのは・・・どうやら演劇の練習らしいよ。」
「演劇の練習？」
「そう、練習。なんでも、二人の先輩が芸能事務所やっているらしいのよ。で、石原さんは、そこに誘われているんだって。」
「ホントに？それって、すごくない？」
「どうも話を聞いていると、大河内さんはまだ練習が足りないみたいなんだよね。で、その練習って言うのが、駅で独り言みたいな事やるらしいのよ。」
「と言う事は？」
「たぶん、加藤さんみたいに、頭がおかしくなったって事はないんじゃないかな。だから、何も気にしないで、当たって砕けろって感じでがんばんな。」
「砕けたくはないなぁ。」
「例えよ。例え。まぁ、それだけ言えるなら大丈夫だね。とにかく、明日からがんばるんだよ。」
「うん。」