僕は彼女の事を二度愛していた
何かが、僕の中で限界を迎えた。一瞬、意識が遠くなり、何も見えていなかった。頭がボーッとして、知り合いが目の前にいるのに気がつかない。そんな事があるだろう。その感じに似ていた。
そこから戻って来た時、僕は、僕の手は女の首を絞めていた。細く、白い首。その首を、僕は両手で思い切り力を込め、締め続けていた。
「ねんねこ、ねんねこ、ねんねこなぁ・・・。」
それでも、なお歌は続いた。
僕も締め続けた。自分に、こんなに力があるのだと驚いた。同時に、一瞬だけ興奮し快感を覚えた。
「ねんねこ・・・。」
そこで声は聞こえなくなった。
それに気がつかず、僕はしばらく首を絞めたままだった。
どれくらい時間が経ったのだろう。しばらくの間、そのままだった気がする。
何も聞こえない。それを認識するのに、時間がかかったからだろうか。それとも、いつまでも快感に浸っていたかったのかはわからない。
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