僕は彼女の事を二度愛していた

「大河内。」
「加藤か・・・。どうした？」
パッと見、どこかおかしい感じはしない。いつものようにハイテンションなだけだ。
「にへへへ・・・。」
気味の悪い笑い方だ。確かにおかしいのかも知れない、僕は考え直した。
「な、なんだよ。気持ち悪いなぁ。」
「にへへへ・・・。」
「だから、なんだって。」
「やったんだよ。」
僕がその場を去ろうとしたのに気がついたのか、加藤はやっと本題を話始めた。
「やった？何を？」
食いついてきた僕をじらそうと、少し間をおいてからこう言った。
「彼女とデート。デートする事になりましたぁ！」
「へっ・・・？」
あり得ない。こんな小太りの加藤が、彼女とデートする。天と地がひっくり返る事よりもあり得ない。
そう思うと、言葉を返す事が出来なかった。
「なんだよ。何、黙っているんだよ。なぁ、一緒に喜んでくれよ。」
喜べるはずがない。