7つのキス
そう、私は実はマーメイド。今までの15年間、ずっとずっと人間に見つからないように隠れて生きてきました。
だって人間は、
私達マーメイドを珍しがって見世物にしたり酷い事をする常習犯なんです。
私は海で育って来たのでよくわからないけど、小さい頃からそう教えられて育ちました。
だからどうしよう!私、この人に酷い事をされちゃうの!?
「良かったな、ここが人気のねー場所で。…怖がらなくてもいいよ。俺は何もしねーから。」
え?
何で…?
「私の姿見て何も思わないんですか?驚かないんですか?」
それでも私は恐る恐る聞いてみました。
人間の男の子は優しく笑いました。笑っただけなのに、何だかとっても安心しました。
これは人間のパワーなの?
「う~ん。正直驚いた。けどアンタ気絶してたし助けようと必死だったしいつまでも驚いてるわけにはいかないだろ。」
胸の奥がキュンとするこの感じ…なんだろう。
「えっと…人間さん、助けてくれたんですね。ありがとうございました。」
あのおいしい水はあなたが飲ませてくれたんですね。
「ぷっ、人間さんはやめてくれよ。俺は一之瀬良紀。らきって呼べよ。…で、アンタ、名前は?」