7つのキス

「あさっていいます。」


「え?人魚って名前一文字なの?かわってんね。」


「あっそうじゃなくて、本当は旭奈津っていいます。私の家族以外からは、あさって呼ばれてるんです。だからあさって呼んで下さい。」


呼んで下さいって…、もう私とらきさんは会う事もないのに…。


「やだね!!奈津って呼ばせてもらう。奈津って名前可愛いじゃん。せっかく可愛い名前があんだから名前で呼ばせろよ。」


ー…ドキドキする。


やっぱり人間にはマーメイドにない不思議なパワーがあるんだ。


「はい!らきさん。」


私は今までお母さん達以外で名前で呼ばれた事なかったから嬉しい。私も実はこの名前、可愛いって思ってたんです。


「じゃぁ、俺の事呼び捨てにしろよ。」


「えっ?ム、無理ですよ!!無理ですっ!!!」


私は男の子、ってか友達すら呼び捨てにした事なんかないもんっ!
恥ずかしいし。
そんな、私には無理だよ。


「あぁ~顔真っ赤。可愛いなぁ~。」


えっ!?えっ!?
私、そ、そんな顔赤いなんて、あ~もう、夏のせいか暑いです!!


あ…やだ…また……ぐったりしてきました。力がぬけます。


「えっ。ちょっと奈津!?大丈夫か?」


らきさんはすごく心配した表情で私を抱えこむようにして私の頭を自分の膝にのせました。



「はい。でも少しクラクラしました。マーメイドは暑さに弱いんです。」



らきさん、私の事、面倒だって思ってしまうんでしょうか。
さっきも迷惑かけてしまって…もぉ嫌です。


「じゃぁもう海に戻った方がいいんじゃない?」

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