逃げ道なし!
朝・・・・・・・・・田中は"いつも"通りの時間に起きる。


"いつも"通り朝食をとり、寝ぐせを治して家をでる。


そして"いつも"通りの電車は、なにも変わらず、無関心に定刻通りに駅に着く。


"いつも"通りの電車に田中は乗車していた。


田中は"いつも"と同じ車両に乗った。




一日のうちで"一番好きな時間"がやってきた。


ドアを入って向かい側のドアの近く、田中は本を読み始める。



次の駅で"その娘"は乗ってくる。


数週間前なら、黙ってその場所で、二人は立ちながら本を読んでいただろう。


それでも田中にはよかった。


田中は半年前位から名も知らぬ彼女に"恋"をしていた。


そして田中はこのまま話もすることはない・・・・・・・と考えていた。


数日前の学校の帰り道。


その娘と同じ車両に乗るまでは・・・・・・。
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