逃げ道なし!
神谷は階段を駆け登ると・・・・・どこか隠れる場所を探した。



"はやく・・・隠れなければ"


神谷の額からは・・・・・汗が吹き出ている。


神谷は廊下を見渡した。

だが・・・・・先は真っ暗で、隠れる場所なんか・・・・・なかった。




"クソっ!何もねえ・・・のかよ"


神谷は再び、廊下をどこに向かってるか、"わからない"が・・・・・・・走った。



神谷は"走り続けた"。


"ドシドシ"



追いかけてくる、足音は神谷が足を緩めたり、転んだりしたら・・・・・即座に追いつかれる距離にいる・・・・・。


神谷が振り向いたりする行動"一つ"は・・・・・・命取りになる。



"ハァハァハァ・・・・・・なんなんだよっ!
・・・・・・・母さん、姉ちゃん、兄ちゃん・・・・・・・父さん、俺・・・・・・・もう"会えない"のかな?
なんで今、追いかけられてんだろう・・・・。
今日も家帰って・・・何するかも決めてなかった。
俺は・・・・なんの為に、生きてきたんだろう・・・・・。ガッコの"くだらない"連中と・・・・何にも変わらないじゃねぇか・・・・・・。


・・・・・・・こっから"出られたら"、陸上でもやってみようか"


走るさなかの事だった。

閃いたように神谷の心に、鮮明に浮かびあがった家族の顔は、とても優しく、暖かかった。
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