勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


「紫衣が悪いのではないのだよ。
泣かないでくれ。」


お兄ちゃんの胸に抱き寄せられ私は嗚咽を上げながら泣いてしまった。



「紫衣と同じように俺の死を悲しんでくれる心優しい娘がいるのだ。」


お兄ちゃんを救える唯一の人…。


そんな気がした。


「その人にお兄ちゃんを助けてって言っちゃいけないの?」



「とても遠い世界の人なのだよ。
俺が400年という長い長い時を経て待ち望んだ人。」



「400年?」



「そうだ。紫衣には難しいかもしれないが俺が死んでから400年後の時代に生きる人。
その人が俺を正しき道に導いてくれる。」



「だったら!!」



私の言葉を遮るように悲しそうな表情を浮かべてお兄ちゃんは首を横に振った。


どうして助けてって言わないの?

気の遠くなるほど待って、待ち続けた人を見つけたのに…






どうして?





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