勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


この世界に来てから私は初めて眠気に襲われた。

「お兄ちゃん、変だよ。紫衣…なんだか眠くなってきた。」


目をゴシゴシと擦りながら話す私にお兄ちゃんはその大きな掌で私の頭をグリグリとかき混ぜるように撫でながら答えた。

「それが正常なのだよ。今は何も考えずに眠るといい。」


優しく響くお兄ちゃんの声を聞くと益々眠気が増してきた。


「眠りたくない。」


「紫衣、眠りなさい。
疲れているのだよ。」


「いやッッ!なんだか怖いの。」


「何も怖がることはない。」


「お兄ちゃん、ずっと紫衣と一緒にいてね。
紫衣を独りにしないで…」





「紫衣と俺はずっと一緒だ。」


遠のく意識の中お兄ちゃんの声を聞いた。


私の肩を抱くお兄ちゃんの腕の強さとぬくもりを感じながら私は意識を手放した。






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