勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
ここでは人間の全ての要求が叶う。
だからここにいる人間は欲を失う。
眠ることも、食べることも必要なくなるのだ
なのに目の前の娘は目覚めてすぐにお腹が空いたという。
不思議な娘だ。
俺はクスクスと楽しげに笑った。
ここに来て初めて声を出して笑った。
紫衣、楽しく可愛い娘。
「笑うなんて酷いよ!」
顔を真っ赤にして怒る紫衣の頭をグリグリと撫でて俺は話しかけた。
「ここでは願えば何でも手に入るのだよ。」
キョトンと首を傾げる紫衣。
でもすぐに頬を赤く染めて白いご飯のおむすびが食べたいと口にした。