勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


突然目の前に現れた湯気の立つおむすび。


とっても美味しそう。


手に取るとホワリとあたたかくずっしりと重い。

口に入れるとほのかな塩のしょっぱさが口に広がりご飯の甘味が後から広がった。



「美味しい…。
お兄ちゃんも食べて。」

私の言葉ににっこりと微笑んでお兄ちゃんはおむすびを長い指でつまみ上げた。


「美味しいでしょ?
私のうちは貧乏だったから白いお米だけのおむすびなんて食べられなかったんだ。」


ハムハムとおむすびを頬張りながら紫衣は屈託なく話してくれる。


人々の暮らしは貧しい。
田畑を耕し実りを前に戦で荒らされてしまう。


何度となく繰り返される苦しみ。


人々が圧迫されているのは世の乱れのせい。


豊かで平和な世の中にしたい。


紫衣達のような弱い立場の人々を守りたい。


俺が目指した道だった。





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