勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「紫衣は幸せだったか?」
「幸せだったよ。」
「貧しかったのであろう?」
「でも、お父さんとお母さんは優しくて笑っていたから…。
とても幸せだった。」
そう、私は幸せだった。
お腹いっぱい食べれなくても仲のいい両親といつも笑顔で暮らしてた。
田んぼや畑で一生懸命働いてクタクタになって毎日を過ごしているのも嫌いじゃなかった。
お腹いっぱい食べれても、お兄ちゃんは幸せじゃなかったでしょ?
秀吉様の家臣の一人として責務をその背中にずっと背負っていたのでしょう?
決して広くない華奢な背中にどれほどの重荷を背負ってきたの?
一生懸命に生きなかったわけじゃない。
なのに死んでもなお、その荷物を下ろそうとしないのは何故?
それ程大切なものなの?
「あのね、私夢を見たよ。」