勝利の女神になりたいのッ!~第1部~



私はまた400年後の世界にいた。


また泣いているの?


四角い道具を耳に当てて顔を真っ青に染めている。


どうしたの?

どんな悲しいことがあったの?


頬をつたう涙を拭き取ることもせずに、ボンヤリとしている彼女の背中はとても小さくて、そして小刻みに震えていた。


部屋に一人でいるのに泣くことを堪えている姿に胸が痛くなった。


悲しいことや辛いことから逃げることも出来ず堪える姿はお兄ちゃんと重なって見えた。


自分勝手に生きるのではなく人を思う気持ちがあるからこそ堪えることを選ぶ。


二人はとても似ているように思う。


やはり、この人だ。


この人でなくてはならない。


お兄ちゃんのそばでお兄ちゃんを支えられる人。

お兄ちゃんがずっとずっと長く待ち続けた人。



もう一度お兄ちゃんに話そう。


今度こそちゃんと話しをしよう。


そう思ったのに…。





目が覚めたら私は独りだった。


独りぼっちになっていたんだ。





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