勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


「お兄ちゃん?
お兄ちゃ~ん!」


どこに行ったの?


紫衣がちゃんと話せなかったからいなくなっちゃた。


呆然と時間だけが過ぎていく。


私はお兄ちゃんのおいていった羽織を抱きしめて泣いた。


ただただ寂しくて…


悲しくて泣き崩れた。




ひとしきり泣いた後私の寝ていた場所にはお兄ちゃんが残した書状といつもお兄ちゃんが側に置いていた水瓶を見つけた。


震える手で書状を開き目を通した。


整い綺麗な字が並んでいる書状の内容は短く紫衣は紫衣の道を自分で探せという事が書いてあった。


私は私の道。


そんな事考えたくもない。

お兄ちゃんと一緒にいたかったんだ。

お父さんとお母さんと放れてもお兄ちゃんといたいって、あの橋の向こうにお父さんの姿を見た日思ったんだ。


それなのに…


こんなの酷いよ。


紫衣を独りぼっちにするなんて…


お兄ちゃん、どうしてなの?


なにがいけなかったの?





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