勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「紫衣はどうだった?」
興味津々と言うような芽衣ちゃんの眼差しに私は一つ溜息をついて首を横に振った。
キラキラとした笑顔を途端に崩して眉を困ったようにハの字に下げる芽衣ちゃん。
「嘘だよ。私きっと石野さんを好きになる。」
落ち込んだ芽衣ちゃんに私は舌を出してから答えたんだ。
「え??」
驚いた芽衣ちゃんの耳の側でもう一度私は答えた。
「運命の人と出逢っちゃった。」
不器用だけど優しい私の運命の人。
探すことなくあなたに逢えた。
出逢いは突然。
あの橋の手前であなたと逢ったときのように始まりは突然。
今度は離れない。
ずっと一緒にいたいのはあなたなの。
私を側においてください。
この時代では選ばれるのは私でありたい.....。
「二人とも、車に乗って。出発するよ!!」
「は--い!」
石野佐和さん。
私もあなたの運命の人でありたい。
お兄ちゃんと紫衣のように二人寄り添って生きていきたい。