勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
私も朱里さんのように生きれるだろうか...。
私の暮らした時代とは違いすぎる考えに私も馴染むことが出来るのだろうか。
三成の側にいれるだけでと思えるだろうか。
私は三成に必要とされるだけで充分だと思っている。
だけど人間は欲張りだ。
きっと彼の唯一の存在になりたいと思うんじゃないか。
それとも良君を好きだったときと同じで失いたくないという思いで私はまた知らんぷりをして人を傷つけてしまうのだろうか。
「紫衣...。そう呼んでもよろしいですか?」
朱里さんは見惚れてしまうほど綺麗な笑顔を浮かべながら話しかけてくる。
「はい。」
あらためて言われるとなんて呼ばれていたのかわからない。
紫衣様?そう呼んでいたのかな?
様なんて私には似合わない。
「朱里さん、私は何も持たないどこにでもいる人間なんです。だから...。」
「紫衣はとっても可愛い女の子ですよ。ここで唯一の人。
あの鬼の左近様にあんな優しい表情をさせることが出来るのは紫衣だけですよ。
奥方様によりも私は紫衣に嫉妬してしまいそうです。」
だから自信を持って堂々となさってくださいな。
朱里さんの言葉にはとても力がある。
何も持たないんじゃなくて何か探したいと思える私でありたいと心から思った。
「私も私なりにここで生きている証が残せるといいな。そうなれるように頑張ります。」
私の言葉に朱里さんは満足そうに笑った。
「さぁ、そうとなれば美味しいお菓子を頂いてしまいましょう。」