勝利の女神になりたいのッ!~第1部~


滑るように走る車。



いったいどこへ行くのかな?


騒がしい場所だったらイヤだな。


何も話さずに一人で考えていたら私の携帯と石野さんの携帯が同時に鳴った。



バックから携帯を取り出して確認すると芽衣ちゃんからのメールだった。



「芽衣ちゃんからだ。」


石野さんに声を掛けてメールの画面を開くと信じられない内容に私は固まってしまった。



「なんて?」


石野さんに尋ねられて意識を取り戻したように私は急に焦りだした。



「二人で楽しんできてねって書いてありました。いったいどういう意味なんだろう?」



独り言のように呟く私に石野さんの大きな溜息が聞こえる。



石野さんは車を道の端に止めて自分の携帯を確認した。



「チッ.....。」




誰からなのか、何が書いてあるのか聞けるわけもなく石野さんの舌打ちに私は肩をビクリと揺らした。



携帯のパタンと閉まる音が響いて石野さんは車のハンドルを握った。


さっきより乱暴な車の発進に驚きながらも私はおとなしく助手席に座ったまま何も話さない。


何か怒っているのかな?


もしかして私と一緒にいるのがイヤなのかもしれない。


どんどん考えはマイナスになっていく。


後ろ向きな考えは本来私らしくない考え、だけど石野さんといると不安になるんだ。



きっと好きだから...。


とっても大切だから...。



石野さんに嫌われたくないって強く思いすぎてしまう。







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