勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「もうよい。」
私の暴走を止めたのは三成だった。
紅葉さんに下がるようにと指示を出し、部屋には三成と私の二人だけになった。
「いったいどうしたというのだ。」
さっきまでの冷たい表情ではない三成。
私の髪に指を差し込んで梳くように撫でてくれる。
心地よさに瞼を閉じると彼の唇が私の額にソッと触れた。
彼の唇が好き。
あたたかくて柔らかい
触れるだけの優しいキス。
キス…
キ…ス…。
キスー!!
「キャー!」
「なんだ?どうしたのだ!」
落ち着けと言いながら私を抱きしめる三成。
私とんでもないことしちゃったよ。
キスなんて紅葉さんに通じるわけない!
エッチ!って彼に言っちゃったよね?
どうしよう…。
「赤くなったり青くなったり忙しいな。
話してみよ。」
私は彼の腕の中で小さくなりながら話した。
そして紅葉さんとのやり取りを全て話し終えると彼は声を立てて笑ったんだ。
「笑わないで下さい!
この話は恥ずかしいからもうおしまいです。」
むくれる私を目を細めて見つめる三成。
「紫衣の時代では口付けの事をキスと言うのだな。」
俺はもう覚えたぞと彼はニヤリと笑って言った後私の唇に彼の唇を重ねた。
そしてその唇は私の耳元に移動して囁いたんだ。
「他の誰にも教えるな。俺だけがわかっていればいい。」
耳にかかる彼の吐息が私の体を熱くする。
彼と触れ合う度、私は彼を好きになっている。
好き過ぎて、なんだか怖いと感じてしまうんだ。