勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
急な出立のため準備が大変そうな左近さんと朱里さん。
いつもなら左近さんも朱里さんも水口から出ることはない。
きっと二人が一緒に大阪に行くのは私のため....。
誰もそんな風に言わないけど、そうだと思う。
私が不安にならないように、そう思って配慮してくれているんだよね?
申し訳ない思いながらも、今は正直二人と一緒にいれることがとてもありがたい。
初めての場所。
初めての人達。
心細かったんだ。
「紫衣、殿がお呼びだよ。」
部屋で準備をしていると紅葉さんの声がしたので襖を開けた。
あれ?
紅葉さんよね?
「何?俺の顔に何かついてる?」
唇を片方だけ持ち上げて笑う紅葉さん。
なんだか憎たらしい!!
「別に!!」
プイッと顔を紅葉さんから逸らせて私は言葉を発した。