勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
少女の放つ光だけが頼りの暗闇。
小さな少女に手を引かれて私は移動していた。
不思議な少女。
小さいのに少女の言葉には含みがある。
無邪気でストレートな少女の言葉の中には何が隠れているんだろう。
そんなことばかり考えていたら目の前が急に明るくなったんだ。
トンネルを抜けた時のような眩しさを感じて軽く瞼を閉じる私の手を少女はグイグイとひっぱって連れてきた場所。
そこは真っ白な場所だった。
少女と逢った暗闇とは対照的に真っ白な場所。
そして目の前には黒い影のような塊が2つフワリフワリと浮かんでいたんだ。
「おねえちゃんは右ね。私は左に…」
また意味のわからない少女の言葉。
首を傾げて少女を見る私に少女は同じようにして欲しいと告げた後黒い塊に両手の掌を向けたまま近づいたんだ。