勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
両掌をかざしながら塊に向かって一歩進むと吸い寄せられるような感覚に足に力を入れた。
急に怖くなって必死に塊に向かう体を反転させた。
でも掌が塊に向いたまま動かないのでとても不自然な姿勢で余計に力が入らなくてズルズルと足が塊に向かって動いていく。
そんな時少女の声が耳に飛び込んできたんだ。
「お姉ちゃん大丈夫だよ。お兄ちゃん優しいから…。
お兄ちゃんを助けてあげて、お願いね。」
少女の大人びた言葉とあどけない姿のギャップに気を取られて抵抗を緩めた私は一気に塊の前まで進んだんだ。
そして吸い込まれる瞬間少女も同じように塊の中に吸い込まれるのが見えた。
塊に飲み込まれる少女の姿を最後に私の意識は途絶えたんだ。